今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~
 視界は、いつぞやの時のように白いもわもわに覆われていた。
 ――シュヮアアアアッッ!
 体感的に、リスたちに纏わりついていた黒い魔力が溶けだし、消えていくのが分かった。荒らぶっていたリスたちは一斉に大人しくなり、それに伴って動揺していたお客さんたちも徐々に落ち着きを取り戻していく。
 気配でそれらを感じながら、私は安堵の胸を撫で下ろした。
 ……よかった! これでもう、リスたちは大丈夫ね!
 あとは、怪我をした子供たちの手当てを――。
『小癪な小娘がっ!』
 黒い魔力が消えたことで油断しきっていた私に、黒ちゃんが牙を剥いて飛び掛かる。
「きゃあっ!」
 振りかぶった前足の鋭い爪が眼の前に迫るが、突然のことに驚いて硬直し、体が動いてくれない。
 ……やだ! いやだよっ! パパ、助けて――っ!! 振り下ろされる爪をスローモーションに見ながら、脳裏に心配そうに私を見つめるパパの姿が浮かんだ。
「リリー!!」
 え? パパ……!?
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