今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~
 ところが、このお願いに魔粒子のみんなは困惑した様子で互いに顔を見合わせた。
 ……ええっと、癒すのはだめなのかな?
 みんなは、できるけど尻込みしている、そんな印象だった。
『そなたら、構わんぞ』
「……え、ベル! いつの間に!?」
 突如、目の前に現れたベルに目を丸くする。
 さらに驚くべきことに、ベルはその前足で黒ちゃんを踏みつけて拘束していた。しかもベルの両脇には、私がふれあった白いウサギさんとリスさんが控えるように立っているではないか。
『見ての通りこれは全て、本来人間界には存在せぬこやつが起こしたこと。子供らは、本来ならば負わなくてもいい怪我をしたのだ。だから此度は、聖獣の王たるわしの責任において癒してやってくれ。責任は全て、わしが取る!』
『……ぅうぅ、おのれベルベリヴァウンゼン。余計なことを……グェッ』
『フンッ!』
 黒ちゃんが憎々しげに声をあげたが、ベルに拘束を強められ、カエルが潰されたみたいな呻き声を漏らして、それっきり静かになった。
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