今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~
 なぜか、俺が守ってやりたいと思ってしまった。
「リ――」
「私、この人知ってる――っっ!」
 呼び掛けようとしたまさにその時、突然リリーが俺に向かって叫んだ。
 呆気に取られ、一瞬動きが止まる。曲がりなりにも、俺は騎士団長だ。騎士団の祝賀行事の折には団長である俺の絵姿が出回る。
 ……とはいえ、まさか彼女がそれを見ていようとは思わなかった。
 気を取り直し、再び声を掛けようと口を開きかける。直後、リリーがビクンと肩を跳ねさせたかと思えば、体が勢いよく後ろに倒れる。
「危ないっ!!」
 咄嗟に飛び込んいって、彼女の後頭部が床に叩きつけられる直前で、なんとか受け止める。
 っ!? なんて軽さだ!?
 初めて触れた幼子の、かぼそさに驚いたのは一瞬。俺を見つめるリリーの瞼がゆっくりと下がっていき、フッと意識を失った。
「お、おい!? 急にどうした!」
 慌てて呼びかけるが、俺の腕の中でくたりとしたリリーは答えない。
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