今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~
 一瞬、言われたことの意味が分からずに首を傾げる。
 パパや王様の視線も、ダグラスに釘付けになっていた。
「市場に出さずに、王家が全て買い上げれば、毎年リリーにたっぷり食べさせてあげられる! 農園にしたって、王家の専売指定は名誉だしね!」
「ダグラス、それはダメっ!」
 ダグラスが口にしたとんでもない提案に、私は慌てて首を横に振る。王様も表情を険しくして口を開きかけていたけれど、私の声の方が少し早かった。
「え、どうして?」
「だって、こんなに美味しいんだもん! ひとり占めしちゃうより、多くの人にこの味を知って欲しい!」
 表情を曇らせるダグラスに、私は力強く訴えた。
「そっか、それもそうだね」
 ダグラスは納得した様子で頷き、それを見て私はホッと胸を撫で下ろす。
「それに、王家の専売にしなくたって、市場に出回ったら僕が一番に買ってしまえばいいだけの話か。……よしリリー、来年もこのブドウをどっさりお土産に持ってくるから、楽しみにしていてね!」
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