今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~
「へー、うまそうッスね。どれ、俺もフォンダンショコラをいただくッス」
 私たちの会話を聞いていたバイアスさんもフォンダンショコラのお皿をひょいと寄せ、さっそくフォークを入れていた。
 それを横目に、私は溶け出したチョコレートをたっぷり付けて、あーんっと口に――。
「こら、リリー。そのまま口に入れては火傷する」
「ッ、アチチチッ!!」
 口に入れる直前でパパにそっと手を取られるのと、バイアスさんから悲痛な声があがったのは同時だった。
 私はすぐ目の前でとろーんとチョコレートを滴らせるフォンダンショコラと、向かいで口を抑えて悶絶しているバイアスさんを交互に見て、目をパチパチさせた。
「冷ましてから食べんとああなるぞ」
 ……あぁあ。バイアスさん、すごく可哀想。
 だけど、私だって他人事じゃない。パパが止めてくれなかったらああなっていたのだ。
「パパ! 止めてくれてありがとう!」
「あぁ」
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