今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~
 パパは、ダグラスからコップに入った水を貰って必死で口を冷やすバイアスさんを私に向ける温かな眼差しとは対極の冷めた目で一瞥すると、フォークを持つ私の手ごとすっぽりと包み込む。そのままフォンダンショコラを口もとに寄せ、ふぅふぅと息を吹きかける。
「……ほら、リリー。あーんだ」
「うん、あーん」
 言われるまま大きく開けた口に、フォンダンショコラを頬張れば、口の中にチョコレートの優しい甘みとショコラの香ばしさが広がる。
 パパにふぅふぅしてもらったおかげで、チョコレートもちょうどよい温度になっていて、まさに至福!
「チョコレートがあったかくてとろとろ! すっごく美味しい!」
 私がもぐもぐしながら伝えたら、パパはよしよしと頭を撫でてくれる。
「リリーちゃんに美味しく食べてもらえてよかったですわ。でも、アルベルト様が気づいてくださったからよかったようなものの、最初に冷まして食べるように伝えなかったのはうっかりでしたわ」
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