今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~
 バイアスが子供の扱いに長けているのには理由があった。実はバイアスは、下の弟と十五も年が離れているのだ。俺の乳母を務め終えた後、夫婦で商売を始めた両親に代わって、下の弟のおむつ替えから夜泣きの世話までやってのけたバイアスのアドバイスなら、聞いておいて損はない。
「ふむ、聞こう」
 さぞ有益なアドバイスが聞けるだろうと、若干前のめりになって耳を傾ける。
「団長の眉間の皺ッスけど」
「……眉間の皺?」
 思いがけない話の切り出しに、怪訝に反復する俺の眉間には皺がギュッと縦に寄る。
「そうそう、それッス! 団長のその皺、かなり威圧感あるッス。俺はもう慣れっこッスけど、往来ですれ違った女子供がよくビビッてるッス。たぶんリリーちゃんも、相当怖いんじゃないかと思うッス~」
 ……そうか。そうだったのか。俺の皺が婦女子にそうも恐れられていようとは知らなかった。
 初めて知らされた事実に、目からウロコが落ちる。
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