今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~
「パパのお部屋に掛けてくるね!」
 パパのお部屋は二階の奥だ。
「いや、リリー。外套は――」
「大丈夫、私に任せて! ……よいしょっ!」
 パパが少し困ったように口を開きかけるが、私はくるんと背中を向けて階段ホールへ駆け出した。
 ところが、階段の一段目を上ろうとしたところで、踏み出した足がなにかを踏んずけた。
 えっ!?と思った時には、ズルッと滑りスッテンコロリと転がっていた。
「っ!!」
 子供というのは頭が重い。私も例に漏れず、後頭部を床に強打しかけ――。
「リリー!!」
 ――ガバッ。
 タッチの差で駆けてきたパパに抱きかかえられ、事なきを得た。
「大丈夫か!?」
「……パパ」
 反射的に閉じていた瞼をゆっくりと開けば、私を覗き込む透き通るグリーンの瞳とぶつかった。
 萌ゆるグリーンの鮮やかさに息を呑む。
 だけど、両目の上……パパの眉間にクッキリと刻まれた皺に気づき、意図せず「ヒッ!」と悲鳴が漏れた。
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