今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~
 出会ったばかりの頃より少し薄くなっているような気がするパパの眉間の皺。だけどその皺が、今は過去最大級に深く刻まれていた。
 ……怒ってる。めちゃくちゃ怒ってるよっ!!
 さらに、反射的にパパから目線を逸らして下げたことで、私が踏みつけた物の正体がパパの外套の裾だったことも知れる。しっかり持っていたつもりだったけど、小さな両腕では抱えきれず、長い外套の一部が垂れ下がってしまっていたみたい。
「ごめんなさい! ……パパの外套を踏んずけちゃってごめんなさいっ!」
 私は青くなって、パパの腕の中から弾かれたように起き上がり、涙目で謝る。
「そうではない!」
「え……?」
「外套などどうでもいい! リリーは怪我をしていないか!?」
「う、うん。大丈夫」
 物凄い勢いで問われ、タジタジで答える。こうしてパパに守ってもらったのだから、怪我などあろうはずもない。
「そうか、よかった」
 パパはホゥッと大きくひと息ついて、眉間の皺を薄くした。心持ち、口角も上がっているような気がした。
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