今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~
 突然、パパがぐったりした私から弾かれたように手を離す。同時に、私の肺に一気に酸素が流れ込んでくる。
「……っ、ぷはっ」
「大丈夫か、リリー!?」
 荒い呼吸を繰り返す私を、パパはひどく焦った様子で覗き込んでいた。
 ……近隣諸国も恐れ慄く『ユーベルグルク王国騎士団の氷の騎士団長』のあわあわとした姿、へへへっ。こんなレアシーンが目撃できちゃうなんて、ちょっと得した気分……って、 今はパパに見入ってる場合じゃない!
 今回はなんとか絞め殺されずに済んだけど、この一週間私は失敗の連続。このままじゃ、パパに愛想を尽かされちゃうよ……!
 だめ、そんなのだめっ!
「パ、パパ。私は平気! ……それより、お夕食に私が作るのをお手伝いしたミートボール
があるの!」
 気を取り直した私は、ガバッとパパを見仰いで、勢い込んで告げる。
「ほう、そうか。それはぜひ、いただくとしよう」
「うんっ!」
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