今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~
 パパは私をヒョイッと片腕に抱っこすると、反対の手で外套を掴み上げ、ここまで静かに私たちのやり取りを見つめていたジェームズさんに手渡す。
「……あ。ジェームズさん、横から奪い取っておいて、結局お任せしちゃってごめんなさい」
 それを目にした私は小さく肩を縮め、ジェームズさんに謝った。
「どうかお気になさらず。リリーお嬢様のお手伝いしようというそのお気持ちが、大変嬉しく思いました。それからお嬢様、私のことはどうかジェームズとだけお呼びください」
「うん、ジェームズ……」
 ニコニコと好々爺な笑みを浮かべるジェームズにニコリと微笑んで頷けば、なんでか私を抱っこするパパからヒヤッとする冷気を感じたような気がした。なぜか、すれ違いざまのジェームズの笑みも、朗らかなそれから苦笑いに変わっていた。
 ……なんだろ? 気のせいかな?
 私は首を傾げつつ、パパの腕に抱かれて食堂に移動した。

 パパとふたりで囲う夕食の席。パパは普段の食事では給仕を置かずに、自由に食事を楽しむ。
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