今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~
 そんな侯爵家の食堂のテーブルは大きくて、対面で座るとけっこう遠い。なので、私とパパは早々に隣同士に椅子を並べて食べるようになったのだけど、その椅子同士がめちゃくちゃ近い。
 私がポロッと料理を零せば、パパが即座に拭き取り、お口の端からタランと垂らせば、これまたパパが即座に拭ってくれる。
 いたれりつくせり……って、ううん! そんなわけない!
 粗相しないよう、私は毎食神経をすり減らしているというのに、五歳児の不器用な指は容赦なくポロリポロリと零しまくってくれる。
 ……三日前、スープ皿に肘をぶつけてパパのお膝にぶちまけた時には、人生の終わりを覚悟した。だけどパパは「リリーは火傷しなかったか?」と、逆に平謝りする私の心配をしてくれた。
 あの時はたまたまパパの虫の居所がよかったからなのか、なんなのか。理由はわからないけど、とにかくこんな失敗ばかりを繰り返していたら、シナリオ通り死亡エンドになってしまう……! しっかりしなきゃ!!
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