今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~
 私がポツリと呟いた可能性に、ベルは憤慨した様子で首を横に振る。
『馬鹿を言え。わしが魔粒子なわけがあるか。なにを隠そう、わしは聖……』
 自信満々で口を開いたベルだったが、途中でハッとしたように言葉を途切れさせた。
「せい?」
『い、いや! わしのことはいい! それよりもリリー、そなたこの屋敷の娘か? よく手入れが行き届いたよい屋敷に住んでおるの』
 歯切れ悪くゴニョゴニョと濁し、ベルは強引に話の矛先を変えた。
 あぁ、正体を明かしちゃマズい感じなのね。察した私は、あえて深追いせず、ベルの話題にのっかった。
「そうよ。ここは私のおうち。でもね、このお屋敷がピカピカになったのはここ十日くらいのことなの」
 ……そう。十日前まで、屋敷は荒れ放題でひどい有様だった。
 それをこの短期間で見事に蘇らせてくれたのは、パパが新しく雇った使用人の皆だ。そのほとんどは、パパが単身で住んでいた屋敷からそっくり連れてきた人たちだという。
< 55 / 219 >

この作品をシェア

pagetop