今日から騎士団長の愛娘!?～虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです～

　……あれってリリーのペットじゃなかったのかな？　でも、実際この世界に転生した私はペットなんて飼っていない。かつての使用人に動物の世話を進んでするような殊勝な人間もいなかったし、屋敷周辺に猫が住み着いていたりもしない。
『なんじゃ!?　なにか飼っておるのか!?　わしはニャーだのワンだのと鳴く毛むくじゃらの生き物は好かんのだが』
　一瞬、自分も毛むくじゃらだよね？と思ったが、面倒なのでお口にチャックだ。
「あ、ううん。なんにも飼ってないよ」
　きっと前世の百合は、画面越しにぬいぐるみかなにかが転がっているのを見て、生きた猫と勘違いしてたのね。
　そう納得した私は、困りきった様子でヘタリと眉を下げるベルに慌てて告げる。
『そうか！　それならそうと早う言わんか。無駄に気を揉んだではないか。……よし。これでここに腰を据え、快適に生活ができるわい』
「え？　ここに腰を据え……って、私がベルを飼うの？」
『当然じゃろう。そなたが定期的に魔力を補充せねば、わしはこの世界で野垂れ死にじゃ！』