今日から騎士団長の愛娘!?～虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです～

　遠慮や怯えのないリリーの行動が、俺の心を浮き立たせる。
「なぁリリー」
　俺は僅かに腰を屈め、片腕で掬うようにしてリリーを抱き上げる。
「わっ!?」
　リリーは突然高くなった視界に驚いた様子で、俺の肩をバフッと掴んだ。
「もし、今日みたいに俺に頼みたいことやして欲しいことがあったら、遠慮なく言ってこい」
「え？」
　同じになった目線の高さで告げれば、リリーはキョトンとした顔をした。
「俺たちは父子だ。遠慮はいらん」
「う、うんっ！」
　リリーは大きく見開いたブルーの目をパチパチと二、三度瞬かせた後、ニッコリと笑って頷いた。
　腕に掛かる重みと肩に感じる温もり、そして鼻先が触れ合いそうな近さで見る娘の笑顔が、比類なく愛おしかった。
『ゥ゛オロミャーーゴ(ふんっ。安っぽい三文劇のような台詞を、恥ずかしげもなく吐きおって)』