今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~
 リリーとの父子の抱擁を満喫する俺は、足元からあがったしゃがれた鳴き声を右から左に聞き流した。
「さぁ、リリー。いつまでも玄関先にいるのもなんだ。食堂で夕飯を食べながら、今日あったことをパパに教えておくれ」
「うん」
「クレアも、たまには一緒にどうだ?」
「では、お言葉に甘えさせていただきます」
 リリーを片腕に抱いたまま、クレアを伴って食堂に移動する。
『ゥ゛オロミャッッ(あぎゃっ!? こ、この不届き者めが! わしの尻尾の先っちょを踏んでおるぞっ!!)』
 食堂に向かって踏み出した足先がなにかを掠めたような感触もしたが、ゴミ屑でも踏んだのだろうと特段気にもしなかった。同様に、再びあがったしゃがれ声も、リリーを取り落としたりしないよう意識を集中させていた俺の耳を素通りした。
< 67 / 219 >

この作品をシェア

pagetop