今日から騎士団長の愛娘!?～虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです～

　腹痛を装って夕食を断った私はベルとふたり、屋敷の庭の監視に立っていた。昼間のうちに、火の手があがる原因になりそうな物がないかは入念にチェック済み。特段、それらしい物は見つからなかった。
　となると、考えられるのは不審火や放火……？
　とにかく、どうやってボヤ騒ぎが起こるのかは分からないけど、断固阻止しなくっちゃ――！
　茂みの陰に身を潜め、パパたちの帰宅を待ちながら周囲に怪しい気配がないかを探る。しかし、待てど暮らせど、庭の様子に変化はない。
　やがて太陽は完全に沈み、空の主役は満天の星々になった。
『暇だのう』
「……うん、パパたち遅いね」
　日が沈み気温が少し下がったけれど、ベルと身を寄せ合っていれば肌寒さはまるで感じなかった。
「ねぇ、ベルはどうしてこの世界にいるの。本来の居場所は、ここじゃないんでしょう？」
　ベルのモフモフの毛並みを撫でながら聞いてみた。
『ふむ。長年の宿敵であった闇の眷属に不意打ちを食らい、人間界に落とされてしまったんじゃ』