今日から騎士団長の愛娘!?～虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです～

第六章 私のパパが一番素敵

　ボヤの騒ぎから数日が経ったある日のこと。
「おや、これはアルベルト様の……」
　騎士団に出勤するパパを見送って廊下でベルを撫でていたら、居間の方からジェームズの困ったような声が聞こえてきた。
「どうしたの？」
「どうやらアルベルト様が書類をお忘れになってしまったようです」
　ひょっこりと居間に顔を覗かせて問えば、ジェームズがテーブルの上から革製の書類フォルダーを取り上げた。
「あ！　それ、いつもパパが大事な書類を入れるのに使ってるやつ！」
　見覚えのある書類フォルダーは、パパが持ち帰り仕事の中でも特に重要度の高い書類を入れるのに使っているものだった。
「もしかすると急ぎで必要な書類かもしれません。リリーお嬢様、私はこれから騎士団までお届けに行ってまいりますので、留守中なにか御用があれば他の使用人におっしゃってください」
　どうやら、ジェームズが直々にお届けに行くらしい。彼は私に告げると、すぐに御者が待機する厩に向かって歩きだす。