ままになったら極上御曹司に捕まりました?!
彼
「ままぁー!きょう、にんじんたべた!」
保育園からの帰り道、自転車を漕ぐ私の後ろから声が聞こえてくる。
「本当に?!悠くんすごいじゃん!えらいえらい」
半年ほど前、3歳になった息子の悠真。
自転車が重くなってきたなと、日に日に成長を感じる。
「ゆりせんせーほめてくれた!」
「良かったね、悠くんが頑張ったからだよ」
きっと後ろでドヤ顔をしている我が子を思い浮かべて、自然と笑顔になる。
同い年の子に比べると言葉の覚えも早く、人懐こくて元気に育ってくれた。
漕いでいた自転車を降りて、離れの庭に停める。
「悠くん、お家着いたから降りようね」
シートに座っている悠真を抱きあげて、家に入る。
「あら、悠くんおかえり!」
「おばあちゃんただいまー!」
ちょうど母が旅館と離れを繋ぐ廊下を歩いてきた所だった。
母からいい匂いがするから、料理途中だったのだろう。
私の実家、花宮旅館は自然豊かな町にあって四季折々の景色が見られるのが売りだ。
現在、父と母を含めた従業員計6名が働いていて、悠真が幼稚園に行っている間は、私も手伝っている。
私は小さい頃から旅館を手伝うのが好きで、自分の接客でお客様が喜んでくれるのが何より嬉しかった。
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