ままになったら極上御曹司に捕まりました?!
《想い人》
「専務…いえ、社長。来週末の新規事業打ち合わせと、視察についての資料です。」
秘書の山中蓮が、資料を持ってくる。
「あぁ、そこに置いておいてくれ」
そう言って俺は手元の作業を続ける。
つい先日、先代社長からの引き継ぎを終え、通常業務が溜まっていた。
「いえ、先に確認してください。依頼主が、社長への挨拶も兼ねての打ち合わせを、と仰っているので。それに、今回の場合は視察に行った方がよろしいかと」
「挨拶?何回か今までも顔合わせてるじゃないか。それに視察に行かなくても大体は把握済みだ。こっちは忙しいんだ。挨拶をしても専務から社長に変わったところで大差はない」
「そう言われても困ります。確認しておいてください」
そう言って蓮が社長室から出て行く。蓮は、俺が入社する前からの昔馴染みで気心の知れた奴だが、そのかわり俺に対する扱いもぞんざいだ。
この会社の中で、唯一俺に楯突く人間、それが蓮だ。それでも仕事は一流で、優秀だ。