ままになったら極上御曹司に捕まりました?!
2人の出会い
彼の部屋から出て、止めていた息を吐く。

まだ体からは彼の香りがする。

私は、一体どうしたいんだろう。

気持ちを落ち着かせるために、ゆっくり歩く。

キッチンに戻ると、悠真は1人でお絵描きをしていた。

悠真にを抱き締める。

「さっきれーとおじさんかえったよ!」

「一人でちゃんと遊んでて偉かったね」

「ままどーしたの?」

「悠くん大好きだなーって思ってぎゅーしたの」

「ぼくもままだいすき!」

花が咲いたように笑う悠真。

生まれた時から私に幸せを沢山与えてくれた、大切な宝物。

4年前のあの日、あの夜、亮真さんとの出会いがなければ悠真とは出会えなかった。

そして亮真さんは昔も、今日も、変わらず見る人を惹きつけ、完璧な人だった。





4年前、12月。


私は、宮下コーポレーションの総務部で働いていた。

「花宮さん、こないだの備品補充、余分にしておいてくれて助かったよ。ありがとね」

「いえ、お役に立ったようで良かったです」

先程の会議が突然予定変更となり、予想よりも多い人数での会議になったため、余分に追加しておいたものが役に立ったようだ。

前にも1度、似た内容の会議で同じことがあったため、万が一に備えて追加しておいてよかった。

私は、実家の旅館をよく手伝っていたせいか、元からの性格なのかは分からないが、少し先回りをして物事を考えるのが得意だった。

総務部に配属されてからは、それを存分に生かして仕事をしていた。

些細なことだけど、誰かのためになる仕事だから、とてもやりがいを感じる。

「さくら、今度の会社創設記念のパーティー資料どう?」

彼女は岡野由美、そして私の同期。

同い年とは思えないくらい可愛いくて、つい年下のように思ってしまう。

そんなことを言ったら彼女に怒られるけど。

「とりあえずは出来てるよ。前回やったパーティー資料参考にして作ったから、大幅に変わったところは無いけどね。」

「さすがさくら。仕事が早い」

「私なんて、少しだけ変えただけだからそんなことは無いわよ。ただ、参加人数は少し増えそうだからその辺の手配はお願いね」

「了解。あ、昼はいつもんところで」

そういって彼女は颯爽と自分のデスクに戻っていく。
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