大失恋したら年下王子様の溺愛が待っていました。
玄関のドアを開ければ、今にも泣き出しそうな王子がいて。
どうぞ。と、部屋に入るように促すとクンッと腕を引っ張られて王子の胸に飛び込むような形になり、そのまま強く抱きしめられた。
「…変なことするなら…」
「抱きしめるだけ。これだけ、許して」
わたしをきつく抱きしめているその腕が微かに震えていて。
「これだけ、だよ?」
「っ、うん」
許してしまうわたしも大概だと思った。
「それにしても、王子よくわたしん家の前で待ってなかったね」
コーラの入ったグラスを王子に手渡しながら訊いた。
王子から待ち伏せぐらいやってのけそうなものだけれど。
「…待ってた。けど、管理人に見つかって…」
まだしょんぼりしているから、
「やっぱり待ってたんかーいっ!」
って、突っ込めなかった。
「あと、凛々サン…」
「ん?」
「武石慎也に口説かれたって、本当?」
「ブッ!!」
まさかの質問に飲んでいたコーラを吹き出しそうになった。
「なっ、なんで!?どこからそんな話し、」
「武石本人から宣戦布告された」
「はっ!?王子、先生と面識あったの!?」
「ない。けど、俺が凛々サンの家の前で待っていた時に奴が来て、「悪いけど、凛々ちゃんは僕が貰うから」って」