大失恋したら年下王子様の溺愛が待っていました。
「…えっ!?同じマンションだったの!?しかもふたつ隣って。いつから!?」
「凛々サンが越してくる前からいますよ。…なんで気付いてくれないんですか」
もう一度盛大な溜息を吐かれてしまった…。
「う…。も、申し訳ない」
流石に悪いなと思って謝った。
「まぁ、いいですけど…」
そう言いながら王子はわたしが持つカゴを奪うと、ジュースを次々と入れ始めた。
「え、ちょっ…」
「俺は酒は飲めませんが、今夜はとことん付き合いますよ」
キラースマイルよろしくな王子は、さっさとカゴをレジへと持って行ってしまった。
高校生にお金を出してもらうわけにはいかないので、急いでバッグからお財布を出していると、中年の男性店員さんが遠慮がちに、
「お客様、申し訳ありませんが年齢確認出来るものはお持ちでしょうか?」
「…へぁ?」
思わず変な声が出てしまった。
「ぶふっ!」
王子は、堪らずと言った感じで吹き出すし。
わたしは恥ずかしさいっぱいで運転免許証を出して店員さんに見せたのだった。
無事にお酒を買えたというのに王子の笑いは止まらなかった。
「…笑いすぎ」
クツクツ喉を鳴らす王子をジロリと睨むも効果はなくて。
王子の笑いは諦めて、今日の自分の格好を見下ろしてみた。
今は晩夏。深夜のこの時間帯でも生温くて、わたしは、淡いピンクのノースリーブブラウスにスリットの入ったデニムのロングスカート、足元はブラウンのサボ。
24歳という年齢に合わなくはない格好だと思うのだけれど…。
「凛々サンは童顔なんですよ」
う〜ん。と、悩み始めたわたしの気持ちを汲み取ったのか、いつの間にか笑い止んでいた王子がわたしの頭をポンポンする。
「ほら、背もちっちゃいし」