大失恋したら年下王子様の溺愛が待っていました。
「わたしがちっちゃいんじゃなくて王子がでかいんでしょっ!」
キッと王子を見上げながら睨む。
一応わたしだって157センチはあるし、いま履いているサボのヒールの高さをプラスすれば165センチぐらいにはなる。
それですら王子のことを見上げなきゃいけないんだから、どう考えても王子がでかい。
そうこうしているうちにマンションに着いたわたし達はエレベータに乗り込み六階で降りた。
「ほら、凛々サンちのふたつ奥にあるのが俺んち」
「へぇ〜。じゃあおやすみぃ」
素早く鍵を開けてサッと玄関に滑り込み、ドアを閉めようとしたのだけれど…
「り・り・さぁ〜ん?」
ガッツリ王子の左足によって阻まれてしまった…。
「なによっ!?こんな時間にひとり暮らしの女子の家に上がり込んでもいいと思っているわけ!?」
「…だって凛々サン、ひとりになったら泣くでしょ?」
「っ、」
急に真顔になった王子にたじろいでしまう。
「それはっ!だって、失恋したんだから、泣いたっていいでしょっ!」
「いいよ。…ただし、泣くときは俺の腕のなかでね?」
「は、はぁっ!?大人をからかわないでよねっ」
何なの!?何なのよ!?いまどきの高校生ってあんなキザなセリフを平気で言えちゃうわけ!?不覚にもトキメキそうになっちゃったじゃないっ!行く末恐ろしい王子だわ…。
「いいから入れてよ、凛々サン」
そんな色気たっぷりな表情で迫って来ないでよー!
「ちょっ、ちょっとだけだからね!?ジュース一杯飲んだら帰ってよ!?」
「ハイハイ、お邪魔しまーす」
…これが、間違いのもとだったんだ。