私の願いが叶う恋
「そっか・・。」
麻理はたまに彼氏と喧嘩するけど、最近はその頻度が多い気がする。
「梨沙って、理由聞かずにこうやってずっと抱きしめ返してくれるから、癒されるんだよね。彼氏がいなくなっても生きていけるけど、梨沙がいなくなったら私生きていけないな〜。」
私の肩に顔を埋めながら麻理が呟いた。
「いなくならないよ。麻理の彼氏は麻理のことが大好きだもん。私も負けないくらい麻理のこと大好きだけど。」
麻理の彼氏は中学の同級生らしい。喧嘩する度に不安になるみたい。
麻理のサラサラの長い髪をよしよし、と撫でる。
「ありがとう。梨沙も早く彼氏作りな?幼馴染の光くんに告られたんでしょ?」
昨日、光に告白されたことを麻理にだけは報告していた。
「うん・・昨日はびっくりして返事できないで終わっちゃったんだけど、今朝光に会ったから、ちゃんと断ってきたよ。」
麻理は私の肩から顔を離し、目線を合わせると、
「おバカ!!断っちゃったの?やっと梨沙にも初カレが出来ると思ってたのに〜!!」
麻理が残念と言わんばかりの表情でがっかりしてみせる。
「・・光は弟みたいなもんだもん。ドキドキなんてしないし。」
地元の田舎でも、この東京の高校でも、まだ一度も付き合ったことがない私は珍しい方だ。
素敵だなって思う人はもちろんいるけど、それは大抵誰かの彼氏だから。