文化祭実行委員-Girl's side-「君との恋の物語」-spin-off-

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『うん。まずは、各班のメンバーを発表して、夏休みが終わるまでのおおよそのスケジュール案を出すのがいいと思うんだ。それから、班ごとに集まってもらって、顔合わせと、できれば役割分担も決めてもらうと。』
なるほど。3回あるうちの2回目としては、確かにそのぐらいの方が良さそうね。
「うん、いいと思うわ。その後、各班のスケジュールとか細かいところはまた班長会議で決めて行くってことよね?」
一応、確認しておいた。
『うん、そのつもりだよ。どうかな?』
えぇ、
「いいと思うわ。」
『ありがとう、じゃ、次は、スケジュール案を考えよう。制作としてのスケジュールって、どんな感じかな?』
「そうね、まず私の設計が2回目のホームルームまでに終わるから、そこで材料の数もわかりそう。あとは、買い出しの日程を決められれば問題なしよ。ちなみに、買出しには始業式の日がいいかなと思ってるわ。そうすれば、夏休みの間に近場にあるホームセンターを見て回れるし」
どうかしら?私的には結構いい計画だと思うんだけど。
『すごいな!さすが!もうそんなに決まってるんだ!』
ちょっすごいテンション。。
「いや、まだ決めてはないわ!飽くまでも、案よ」
すごいって言われてちょっとテンション上がっちゃったじゃない。
肇こそ、この間の試合すごかったわよ。
『いやいや、そこまで考えてくれてるなら皆賛成してくれるよ!』
「あ、ありがとう。そうだといいわ」
『いやいや、こちらこそありがとう!じゃ制作のスケジュールを参考に考えると』
肇は、一回言葉を切って続けた。
『衣装、メニュー、は夏休み前に決めて、衣装は夏休み中には発注。調理班は夏休み中に買出し先を調査。試作もやった方がいいな。それに、保健所への検体依頼もできればスムーズだよね。』
さすがね。まとめるべきことをよく押さえているわ。本当に頼りになるわね。
「うん、完璧だと思うわ。そしたら、お客さんに配るメニュー表みたいな物は、ウェイター班に任せたらどうかしら?それな、夏休み中も、暇を持て余すこともないじゃない?」
委員長のことだから、やることがないならないで文句を言いそうだし。
『うん、いいアイディアだね!提案してみよう!あ、それとさ、調理班として相談があるんだけど。。』
あら、珍しい。。それに、ちょっと声のトーンが落ちた。。受話器を通じて、話しにくさが伝わってくるみたいだった。
そう、今は電話中。
「う、うん、なに?」
ちょっと構えてしまった。。
『あぁ、えっと、当初の予定では、俺特製のスポーツドリンクを出す予定だったと思うんだけど。。』
なによ、言いにくそうね。。
「うん、そうね?」
『この間浩司から提案があって、スポーツドリンクだと他のメニューに合わせにくいし、なにか別の物にしてもいいんじゃないかって』
え、そうなの??まぁ、確かに合わせにくいかもしれないけど。。
『それで、俺なりにちょっと考えてみたんだけど、メニューはお店のイメージに合わせて考えるのがいいと思うんだ。だから、その、夏織の設計はどんなイメージなのかなと。。』
ちょっっっと!こんなタイミングで名前で呼ばないでよ!
なんの話だったか一瞬飛びかけたじゃない!!
「え、えっと、私の考えでは、やっぱり教室内に床から天井までの壁を作るのは、危ないし難しいと思っていて、でもその分、見栄えのいいカウンターをしっかりと作ろうと思ってるの。高さで言ったら120cmくらいかしら?皆の胸より少し低いくらい?の高さね。それをコの字型に作るつもり。作り自体もだけど、塗装もしっかりやれば、見た目もそれなりになると思うわ。塗装後のイメージは、ちょっと暗い色のログハウスって感じかしら?ビンテージっぽい色ね。」
なるべく平静を装って話したつもり。というか、話しているうちに落ち着いたわ。。
『なるほど!かなりシックな感じになるんだな!そっか!だったらいけるかもしれない。』
ん?
「なにが?」
『うん、メニューの変更を考えだ時に、やっぱり特色がほしいから、なにかブレンドして作れる物がよかったんだ。そこで思いついたのが紅茶!』
紅茶!なんだか意外ね。。でも、とってもいいわ。
『紅茶なら、他のメニューとも合わせやすいと思ったし、アイス用、ホット用でブレンドを変えたらそれも特色になると思ったんだ。』
「いいと思うわ!お店の雰囲気的にも!っていうか、肇、は、紅茶も作れるの??」
ものっすごく恥ずかしかったけど、今日を逃したら二度と名前で呼べなくなる気がしたので思い切って呼んでみた。顔が熱い。。
『いや、まだ作れない。でも、調べていたらすごく面白そうで、それこそ夏休みの間に試作してみようと思うんだ!』
さすがだわ。そこまで考えてくれてるなら言うことなしね!
それにしても、反応が無さすぎて拍子抜けだわ。笑
まぁ、突っ込まれるよりましか。。笑
そうだ!
「それなら、ドリンクは紅茶で行けそうね!
メニューは、例えばだけど、パウンドケーキとかどうかしら?あれなら、3種類くらいにしたら材料費も安いし、調理器具も少なくて済むわ!」
どうかしら?
『なるほど!パウンドケーキか!いいアイディアだ!けど、パウンドケーキってそんなに簡単に作れるのか?』
あら、それは知らないのね。
「えぇ、簡単よ。ボールと泡立て器、それに電子レンジがあれば作れるわ。型もあれば完璧だけど、無ければ牛乳パックで十分よ」
このぐらいはさすがに私でも知っていた。一応は女子だし。
『すごいな!夏織は本当に何でも知ってるんだな!ありがとう!これならいけるかもしれない。浩司に相談してみるよ!』
いや、そんな、なんでもって程では。。
まぁ、褒められたら嬉しいからいいかな。。

以降は、制作のスケジュールを参考におおよそのスケジュール案と次回でそれぞれの班に決めて欲しいことをピックアップしていった。それにしても、やっぱり肇って頼りになるわね。そもそも話し合う必要がなさそうなくらい考えてきてくれてるのに、こっちの意見も取り入れてどんどん進んでいく。
これは、私にはない能力だわ。


こうして迎えた2回目のホームルーム。
各班のメンバーと今日から文化祭当日までの大まかなスケジュールを伝える。
今回は私が発表役になった。
うん、ちょっと緊張するわね。肇みたいに上手くできるかしら。。?
「では、早速ですが、今日は、各班のメンバーを発表します。それから文化祭当日までのおおまかなスケジュール案を伝えますので、その後は班ごとに集まって顔合わせと、班長を中心に役割分担も決められるところまで決めてください。」
少しざわついたので一旦区切る。
おさまったわね。
「では、各班のメンバーを貼り出します。」これは、私が作った物を先生に拡大コピーしてもらった。
貼り出したら私は一旦壇上から降りる。
やっぱり結構ざわつくわね。
けど、ここで無理して進めても誰も耳を傾けてくれないわ。少し時間を取るわ。
肇に目配せをすると、大きく頷いてくれた。


頃合いかしら?
「では!これから班ごとに集まって決めてほしいことを伝えます。まず…」
私は、この間の肇との打ち合わせで決めたことを発表した。
皆よく聞いてくれていた。と思う。

ということで、
「私達制作班は、今日は私の設計図面を見て意見がほしいです。よければこれで行こうと思ってます。」
そう言って模造紙を拡げる。
図面と言っても、これは簡単な略図のような物。天板や柱の寸法、カットする際の角度やなんかが書いてある。
『すごいな。。こんなの一人で書いたのか?』
そう聞いたのは同じ班の男の子。確か、柔道部の、かなりガタイのいい子。
皆口々に私の図面を褒めてくれた。
よかった。一生懸命作った甲斐があったわ。
『正直、俺達はこの図面については良し悪しはわからないけど、これだけの物を作ってくれたんだから、これは確定でいいんじゃないか?どうだろう?』
各々頷く。
「ありがとう。では、図面はこれでいきましょう!」
『OK!そしたらさ、俺ら男子はホームセンター回って木材の値段とかを調べるよ!いいよな?』
男子は皆頷いてる。
なんか…皆、いい人ね。
『制作班のメールグループ作って情報共有したらいいんじゃないか?値段と、木材の写真とかもどんどん送るから、気になったところがあったら東堂が直接見に行ってくれたらいいんじゃないか?』
そういったのは別の男子。すごくいいアイディア!
「2人ともありがとう!では、木材の調査はお願いするわ。メールグループ作るから、皆アドレス教えてくれるかしら?」
そう言ってアドレスを交換する。
私はそのままグループの作成まで行う。
「どう?メール届いた?」
皆大丈夫そうね。
ここで今まで黙っていた女の子が口を開いた。
『そしたら、カウンターのことは男子と夏織にお願いするとして、私達はお客さんが使うテーブルの飾りを考えよっか?カトラリーボックスとか、場合によってはテーブルクロスもあったらよくない?』
確かに。あったら絶対お店の雰囲気がよくなるわね。
「ありがとう、いいアイディアだわ!今日の班長会議で提案してみる。予算のこともあるから。」
『うん!わかった!』
「じゃ、最後に買い出しの日を決めたいんだけどいいかしら?私は、解散が早い始業式がいいと思ってるの。ちょっと先だけど、皆どうかしら?」
『その時期なら、もう皆部活引退してるよな?大丈夫だろ!』
大丈夫そうね。
「じゃその予定でいてください。なにかあったらメールグループで知らせて!」
『了解!よろしく頼むよ、ボス!』
「ボ、ボス?」
思いっきり笑ってしまった。笑
皆笑ってた。
なんか、いいわね。こういうの。




周りを見渡してみると、どこの班も滞りなく会議ができているようだった。
委員長がいるウェイター班も大丈夫そうね。
肇やさぎりがいるところは最初から心配してないし。
ん?なにやら調理班が盛り上がってるみたいね。
肇、楽しそう…。
よかった。



ホームルーム後は早速班長会議。
各班の役割分担やスケジュールを簡単に発表してもらう。
変更はメニューの内容と、カトラリーボックスやテーブルクロスの追加だけだった。
『メニューについてなんですけど、こちらで制作するのは大丈夫です。当日は飲み物も出すし、ラミネート?できないかな?と思うんだけど』
委員長。たまにはまともなこと言うわね笑
「そうね。先生、職員室のラミネーターってお借りできますか?」
『おう!大丈夫だと思うぞ!一応確認しておく。何枚作るかだけ、後で知らせてくれ。』
「ありがとうございます。メニューの変更については、調理班の反応はどうだった?」
これには肇が答える。
『うん。皆快くOKしてくれたよ。紅茶のブレンドに関しては、俺が作ってみることにしたよ。』
そうなのね。
「OK!なにか手伝えることがあったら言ってね!」

今日のところはこんな感じかなというところで解散になった。

さて、急いで部活に行かなきゃ。
このところ、ちょっと気がかりなことがある。

「ねぇ、樋口。ちょっと聞きたいんだけど。」
音楽室に着くと、ちょうど樋口がとなりの準備室から出てくるところだった。
『うん。いいけど。』
「高橋と阿部だけど、最近はどうなってるのかしら?」
高橋というのはチューバの女の子。
阿部というのはフルートの女の子。
この二人がとんでもなく仲が悪い。それも入学当初から。
顧問はもう最初から止める気なんてなさそうだった。部長の竹内も…まぁ、最初はそれぞれから話を聞いたりはしたみたいだけど、今はもうなにも言わない。
そんな、入学当初から仲の悪い二人だけど、最近は妙に大人しい。でもその大人しさが、なんとも嘘っぽくて怖しい。
近々爆発してしまうような気さえする。。
経験上、こういう時はだいたい樋口が絡んでいる気がしたので、今日は話を聞いてみた。
すると案の定、樋口が絡んではいるみたいだったけど、なにも教えてはくれなかった。
代わりに肇とのことで、『変わったな』(いい意味で)などと言われ、拍子抜けした。
樋口のことだから、なにも問題はないと思うけど、流石に心配だわ。
ちょっと、これは、誰かに…。



『なるほど。それは確かに気がかりだな。』
肇はとても落ち着いていた。受話器越しでも、その落ち着きっぷりが伝わってくる。
「でしょう?でも今の状況だとなにもできないのよ。」
一人で考えてもどうしようもなかったので、思い切って肇に相談することにした。
それに、一つ言っておきたいこともあった。
『うん。夏織の気持ちもわかるけど、ここは、恒星を信じて任せるしかないんじゃないかな?』
やっぱり。
「そうよね?私もそう思う。けど、私が心配なのは、なにか起きて、この問題が今まで以上に大ごとになった時に、樋口一人の責任。みたいになるのが怖いのよ。」
これは、本心だった。あそこまで部員のことを考えて動ける人を、悪役にだけはしたくなかった。
『それは、多分大丈夫だと思うよ。』
そう?
「どうして?」
『多分、今の状況に気付いてるのは、夏織くらいなんじゃないかな?仮に気付いてたとしても、恒星がなにか仕掛けてるところまでわかってるのは夏織くらいだよ。多分だけど』
そうかしら??まぁ、確かに周りの様子を見る限りでは、誰も気付いてなさそうかも。
『それに、恒星はそんなに不器用じゃないと思うよ!きっとうまくやってくれる。上手く行ったときに、改めてお礼を言ったらいいんじゃないかな?』
まぁ、それもそうね。
「そうね。確かにその通りだわ。ありがとう。聞いてくれて。」
恥ずかしいけど、お礼はちゃんと言わなきゃね。
『いやいや、大したことはしてないよ。またいつでも言ってよ。』
優しいのね。
「ありがとう。そうさせてもらうわ。それと、もう一つあるんだけど…。」
『ん?なに?』
意外そうな反応だった。
「遅くなってしまったけど、この間の大会、お疲れ様。準優勝、おめでとう。」
『え?あぁ、ありがとう。』
「私は、剣道のことはよくわからないけど、肇の試合は、とても素晴らしかったわ。それに、あの、か、かっこよかったわ。」
あぁ恥ずかしい!!今すぐ電話を切って逃げ出したい衝動に駆られる。。
『ありがとう!そんなに褒めてくれるなら、頑張った甲斐があったよ。決勝では負けてしまったけど、今回の負けには納得してるんだ。』
試合の時のことを思い出す。顔が熱い。。
「そうなの?私には、紙一重に見えたけど。」
『うん、でも、確実に相手の方が一枚上手だったと思う。自分らしい剣道をして、負けたんだから、それでいいんだ。もちろん、次は負けない気持ちで頑張るけどな!』
「そう、すごく素敵ね。」
剣道の話をしている肇は、どんな時よりも楽しそうで、生き生きとしていた。
とてもいいわ。頑張ってね。
『夏織の、コンクール?は、いつなの?』
え?私?
「あ、えっと8月の頭だけど。」
『そっか!じゃ、関東大会の後だ!俺、聴きに行きたいんだけどいいかな?』
え?は?今、なんて?
「え?えぇ、も、もちろんいいけど」
『けど?』
「い、いえ、もちろん!来てくれたら、すっごく…嬉しいわ」
受話器越しに、肇が笑っていた。
なによ。恥ずかしいわね。笑
『よかった!じゃ行くね!詳しい時間とかわかったら、教えてほしい。』
「うん、わかった。あの、ありがとね。」
私、なんだか気持ち悪いくらい素直ね。笑


3回目のホームルームはあっと言う間にきた。
『今日は夏休み前最後のホームルームです。調理班はメニューの確定、ウェイター班はメニュー表のデザイン、衣装班は衣装のデザイン、制作班はカトラリーボックスやテーブルクロスについて詰めてください。では、班ごとに分かれて始めます』
今回は肇が進行。上手いこと皆にやるべきことを伝えてくれた。
さて、私も制作班に行こうかしら。

『とりあえず、カトラリーボックスについて少し考えてみたんだけど、こんなのどうかな?』
そう言ったのは、制作班の女の子。
え?もう作ってきたの?
「試作までしてくれたの?ありがとう!とてもいいと思うわ。」
差し出されたのは、綺麗なチェック柄のクロスで包まれたカトラリーボックス。
すごく軽いわね。これは…
「中は、牛乳パック…??」
私が問いかけると、その女の子は実に嬉しそうに笑って言った。
『そう!これなら予算も取らないし、いいんじゃないかと思って!それに、クロスは計り売りで買って、切って使えば、テーブルクロスにも使えるよ!』
やるじゃない!
「いいアイディアだわ!それで行こう!でも、2人で大丈夫?もちろん、私もできることはするけど」
『うん!ありがとう!多分大丈夫だけど、もし足りなかったら、衣装班の子達が協力してくれるみたい!あ、クラスの皆に牛乳パックを持ってきてもらえるように頼んでほしいかも!』
さぎりが?さすがね。確かに、牛乳パックはパウンドケーキでも使うし、大量にいるわね。
「OK!じゃ班長会議で確認してみるわ!」
『あぁ、そうだボス!制作に使う金槌やらノコギリはどうする?』
そう言ったのは例の柔道男子。
ボスってなによ笑
「ノコギリは必要ないと思うわ。木材を買ったお店にカットもお願いしようと思ってるの。少しお金はかかるけど、その方が安全だと思うのよね。金槌は、木工室のを借りるか、皆で持ち寄るかのどちらかね。」
『多分、他のクラスも結構使うだろうから、俺達は持ち寄ることにしないか?木工セット、持ってないやついるか?』
「皆大丈夫そうね!ならそうしましょう!助かるわ。」
皆、頼りになるわね。

他の班もおおよそ話はついたみたいなので、今度は全員着席して、班長から発表してもらうことにした。
『というわけで、メニューはパウンドケーキと特製ブレンドティーに決まりました。パウンドケーキはメイプル、チョコ、フルーツの3種類で、ブレンドティーは柳瀬君と東堂さんが考えてくれた物を、調理班で試飲して決めたいと思います。』
そう、ブレンドティーの試作は私と肇でやることになった。なんでも、前田君や剣道部の主将に断られたんだとか。
曰く
「紅茶かぁ、嫌いじゃないけど、それなら女子に聞いてみた方がいいんじゃないか?それこそ東堂とか!いやいや、試飲とかはもちろんやるよ!けど、俺達ではせいぜいできた物に意見を言うくらいしかできないと思うんだよなぁ。。」
だそうです。
まぁ、肇と二人なら、別にいいけど。


『衣装は、表にお店の名前、裏には皆の名前が入ったTシャツを注文しようと思います!
そう、下の名前です!どうしても苗字がいい人は言ってください。』
これはまぁ、問題ないでしょ。
『ウェイター班は、当日まではやることがないので、メニュー表の作成と、制作班の手伝いにまわります。メニュー表はこんな感じで、ラミネートした物を当日席に置くようにします。あとは、制作班のカトラリーボックス制作も行います。』
これも問題ないわね。けど委員長、当日お客さんへの対応の仕方はある程度統一しておいてね。
まぁ、きっとその辺りはちゃんとやってくれるでしょう。
では、いよいよ私ね。
「制作班は、カウンターとカトラリーボックスとテーブルクロスを制作します。夏休みの間に木材、クロスの値段調査、始業式の日に買出しをして、以降は、カウンターを男子、カトラリーボックスとテーブルクロス女子が中心になって制作に入ります。カウンターは、このような図面です。」
おぉっとクラスが少しざわめく。
いや、そんなにすごいことでもないんだけど///


『はい、各班長さんありがとうございました。では、それぞれのペースがあると思うので、細かいところはおまかせしますが、期日に間に合わない等の問題は早めにいただければ対応していきたいと思います。文化祭まで、全員で頑張って行きましょう!』
いいわ。シンプルで凄くいい。
『それから、今日は最後に皆で僕たちの模擬店の名前を決めたいと思います。何か、いいアイディアはありますか?俺は、シンプルに(ビンテージ喫茶)などでもいいかと思っています。』
そう、生徒会から、夏休みまでに模擬店の正式名を出すよう指示が出ている。こればかりは私達で勝手に決めるわけにはいかないので、ここは皆に意見を求めることにした。
『はい』
前田君。やっぱり先行して意見をくれた。
『(喫茶肇屋)とかどうかな?店長は肇だし、はじめやって結構語呂がいいと思うんだよな!』
なるほど。シンプルだけど、確かに肇の名前を入れるのはいいアイディアかも。
「はい!」
委員長?お願いだから話をややこしくしないでね。笑
「店長の名前を入れるのは賛成ですが、それなら副店長の…夏織の名前も入れたくないですか?2人とも、同じくらい頑張ってくれてると思うので…」
なんと。そんな風に思ってくれてたんだ。。
委員長、結構良い人、かも。ありがとう。
『はい』
制作班の男子
『そしたらさ、喫茶店じゃなくて、喫茶堂にしたらどう?あ、東堂の堂ね!』
なるほど。。
「はい」
ここでさぎり。っていうか、なんだか凄くスムーズに意見が出てくるようになったわね。
こういう会議って楽しいわ。
「それなら、夏の喫茶堂とか、東の喫茶堂っていうのはどうかな?模擬店の場所も、ちょうど校舎の東側だし!」
なるほど。いいアイディアだけど、どちらもちょっと惜しい気もするわね。
『はい!』
その後もクラスの皆は沢山意見をくれた。
結果
東の喫茶堂「肇屋」
夏の喫茶堂「肇屋」
喫茶「はじめ堂」
夏の喫茶「肇堂」
東の「はじめ堂」
など沢山の候補があがり、結果。。。


『皆さん、ご意見ありがとうございます。では、このクラスの模擬店の名前は…』













『(喫茶「はじめ堂」)か!いいじゃないか。つまり、肇と、東堂の名前を両方いれた訳か!』
相変わらず察しがいいわね。樋口。
「成り行きだったけど、皆から意見が出てくるようになってよかったわ。」
模擬店の名前自体は恥ずかしいからちょっと嫌だけど。
『皆から出た意見で肇と東堂の名前を入れることになったんなら、それは相当な人気者ってことだな!実行委員、やってよかったんじゃないか?』
「に、人気者かどうかはともかく、やり甲斐は感じてるわ。」
なによ、ニヤニヤして!気持ち悪いわね。



それにしても、まさか模擬店の名前に私の名前まで入るとは思わなかったわ。
しかも、提案したのはあの委員長だもの。驚いたわ。
それに比べて私は、委員長をお荷物と決めつけていたとこ、あったかも。
これからはもう少し接し方に誠意を持ちたいわね。




さて、文化祭のことはひとまず落ち着いたわ。
来週からはいよいよ夏休み!
肇の関東大会も、私の最後のコンクールもある!
部の問題は相変わらずだけど、最近私は、学校が楽しいと感じるようになった。
それは、クラスの皆や先生、それに、肇のおかげだと思ってる。
皆ありがとう。卒業まで、もっといっぱい思い出を作りたいわ。
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