イケメン御曹司が初めての恋をして、天然でかわいい女の子に振り回されちゃう話。
「ほかの女にはぜったいに触れない。優乃だけでいい」
と言われたときはうれしさと恥ずかしさで、再び体温が急上昇した。
わたしもそんな先輩の気持ちに応えたいと思った。
「あ、もう昼休みおしまいですね」
校内に響くチャイムで現実に引き戻される。
もう少し一緒にいたかったな。
と無意識に思い、そこでまた先輩のことが好きなんだと実感する。
「サボろ」
「え?」
「……ってのは冗談で、今日一緒に帰ろ」
「はい!」
「じゃあ、教室戻るか」
先輩が立ち上がると、わたしに手を差し出した。
自然すぎて流してしまいそうになるけど、先輩はいつもこうしてわたしに手を差し伸べてくれるよね。
そんな伊月先輩が好き、だ。
自覚すると手を重ねることも意識してしまう。
ドキドキしながらゆっくりと手を上に重ねるときゅっと握られる。
先輩の手を借りながら立ち上がる。
ちゅ。
立ち上がった瞬間、おでこにやわらかな感触と温もり。