イケメン御曹司が初めての恋をして、天然でかわいい女の子に振り回されちゃう話。
七海のことは七海が決めたらいいけど。
おれのことはおれが考えて決めるし。
七海とはそれくらいの距離感でいつもやってきて、それくらいがちょうどいい。
今日も優乃のことを考えていると授業が終わる。
「要ー、今日……」
廊下を歩けば相変わらずおれに声をかけてくる女はいるけど、全員テキトーにあしらう。
おれと優乃が付き合っていることは広まっているはずなのに話しかけてくる。
それは普通なのか?
彼女がいる男に話しかけたり誘ったりするもんなんだろうか。
応える気はないけどな。
ほかの女じゃなにも感じない。
優乃も話しかけられたりしてたら嫌だな。無理だな。
もしおれという存在を知って優乃に手を出そうとする男がいたら……。
「先輩!」
昇降口が近づいてきたときに、かわいすぎる声が聞こえた。
視線を向ければひょこっと柱の横から顔を覗かせた優乃。