イケメン御曹司が初めての恋をして、天然でかわいい女の子に振り回されちゃう話。
さっきの先輩らしき足音が聞こえなくなったとき、ようやく手が離される。
顔を上げていたから、いちばんに要くんの横顔がドアップで視界に飛び込んできた。
やっぱりすごく綺麗な顔でかっこいいな……。
「怖がらせた、よな……?」
なぜか不安げに聞いてくる要くんに首を傾げる。
少し考えて、いきなり視界を塞がれたことか。と理解した。
「大丈夫ですよ。要くんの手、大きくて温かくて安心します」
「あ、うん。気にしてないならよかった……」
長く息を吐きだす要くんは、ほっとしたように胸を撫で下ろす。
安心できたのならわたしもよかった。
「やっぱりここで待たせるのは心配だな。これから教室に迎えに行く」
「えぇ!?それはさすがに悪いですよ。わたしも要くんを待ちたいです」
「だから教室で待ってて」
「でも……」
「さっきみたいに絡まれるの心配。優乃はかわいいから」
要くんはすごく心配症だ。