イケメン御曹司が初めての恋をして、天然でかわいい女の子に振り回されちゃう話。
ふっとやわらかく笑みを浮かべた要くんに、恥ずかしくなりながらもコクリと頷いた。
わたしから言ったのに、いざ改めて言われると照れちゃう……。
要くんに手を引かれて歩き、学校を出てたまに寄り道をする公園に入った。
学校終わってすぐの時間だからか、誰もいなくてふたりきり。
ベンチに隣同士で座って顔を見合わせる。
「あの、要くん」
「優乃がかわいいのが悪い」
「でも、その……ここは恥ずかし……」
「我慢できねぇ」
「ん、っ」
要くんの手が首の後ろに回り、それと同時に塞がれた。
公園周りの木々からはセミが大合唱をしている。
けど、その鳴き声も次第に遠くなり、要くんに夢中にさせられた。
何度も重なる唇に溶かされる。
「とれちまったな」
唇を離した要くんは、自分の唇の端を親指で拭う。
色っぽすぎる仕草に胸がぎゅんってなった。
要くんに移ってしまったグロスが、わたしたちがキスをしたことを視覚でも伝えてくる。