イケメン御曹司が初めての恋をして、天然でかわいい女の子に振り回されちゃう話。
「優乃、夏休み遊ぼうねー!」
「うん!遊ぼう!!バイト休みの日教えてね!」
「了解!」
「あ、翔ちゃん!じゃあ、また連絡するね!」
理沙ちゃんに声をかけて教室から出て行く翔ちゃんを追いかける。
相変わらず歩くのが速い翔ちゃん。
走って翔ちゃんに近づく。
「翔ちゃん、待って!」
わたしの声は聞こえているはずなのに止まってくれない。
それどころか小走りで逃げるように廊下を進んでいく。
なんで逃げるの……。
悲しい気持ちになりながら、必死に翔ちゃんを追いかける。
角を曲がり、翔ちゃんの姿が見えなくなって焦って勢いそのまま曲がった。
「いたっ……」
曲がった瞬間、なにかに思いきりぶつかる。
痛みを感じた鼻をさすりながら顔を上げると翔ちゃんの背中。
そして、その翔ちゃんが見る先には要くんがいた。
心配して来てくれたのかな。
「なに逃げてんだよ」
「……チッ」