イケメン御曹司が初めての恋をして、天然でかわいい女の子に振り回されちゃう話。


翔ちゃんを見つめて尋ねる。

久しぶりにこの距離まで近づけた。


それでも翔ちゃんはわたしを見てくれない。



「翔ちゃんは大切な幼なじみだから、いきなり話せなくなったり避けられると寂しいよ」

「じゃあ、あいつと別れろよ」

「え……?」

「そしたら優乃といままで通り話す」



やっとこちらを向いてくれた翔ちゃんは冷たい目をしていた。

驚いて目を見開きなにも言えないわたしを刺すような瞳。



『じゃあ、あいつと別れろよ』


翔ちゃんの言葉が頭の中でめぐり、感情があふれだしてついに雫がこぼれた。



「っ……、」

「優乃!」



離れたところで見ていた要くんが気がつけば目の前にいて、膝をついてしゃがみ込んだ。

そして手を伸ばして指で伝った雫をすくってくれる。


だけど、要くんの顔を見たらどんどん涙があふれてきてしまう。


悲しいのかつらいのか、それともくるしいのか。

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