イケメン御曹司が初めての恋をして、天然でかわいい女の子に振り回されちゃう話。


「い、行ってくるね」

「うん。あとで話聞かせてよ~」

「わかった」


理沙ちゃんに声をかけてから教室を出る。

手には休み時間に購買で買ったお詫びの気持ちのおやつを入れたビニール袋と、お母さんが作ってくれたお弁当。


はぁ、緊張する……。

理沙ちゃんから伊月先輩がすごい人ってことは聞いたから余計に。


ドキドキしながらも屋上へ向かう。


……そういえば、屋上って行ったことがないけど、どうやって行くんだろう?


棟が何個もあって、その分屋上もある。

どの屋上のことかな?
とりあえず2年のほうの棟に来てみたけど……。



「要くん、今日家にだれもいないんだけどどうかな」

「お前は無理」

「いまからふたりで学校抜けない?」

「お前はもっと無理。出直してこい」

「ひどぉい」


キョロキョロしていると、前からキャピキャピした集団が来る。

廊下はその集団で埋まっているから早めに端へと寄った。



「前は遊んでくれたじゃん」

「無理なもんは無理」

「じゃあ昼休みだけでも」

「俺いま急いでんだよ。お前ら全員無理だから散れ。ついてくんな」




< 20 / 285 >

この作品をシェア

pagetop