イケメン御曹司が初めての恋をして、天然でかわいい女の子に振り回されちゃう話。
「ちょっと待ってよ!その子なに?」
「初めて見るよね」
「要くんは特定の女の子はつくらないよね」
「じゃあ遊び?」
「でも、女子の名前呼ぶの初めて聞いた」
引き止める声に伊月先輩は背を向け歩き続けたけど、思わずわたしは振り向いてしまった。
たくさんのかわいい女子の先輩から視線を集めている気がする。
「顔はまぁ、かわいい……」
「男知らなそー」
「初めに要くんに引っかかるのはカワイソーだね」
「えっと、この先輩たちも一緒にお昼ですか?」
だから伊月先輩と一緒にいたのかもしれない。
わたしはひとりで来るように言われたけど、“ふたりきりで”お昼ご飯食べようとは言われてなかった。
そういうことか。
「そうなの。アタシも一緒だよ」
「そうなんですね」
ひとりの先輩が言い、やっぱりそうなんだと納得。
「じゃ、行こ……」
「は?ふざけんな。調子乗ってんじゃねぇよ」
「え……」
「二度とつきまとうな、気分わりぃ」
「…………」
近づいてきた先輩の手を思いきり振り払う伊月先輩。
その場がシンと静まり返った。
あれ?空気が……。