イケメン御曹司が初めての恋をして、天然でかわいい女の子に振り回されちゃう話。
「せ、先輩……?」
わたしがジュースをかけても怖い顔なんかしなかった先輩の怖い顔。
なんか怒らせるようなことしたかな、と不安になり控えめに声をかける。
そこでハッとしたのか表情が戻った。
「行こっか、優乃」
「はい……」
重い空気だけど優しい声音に戻った先輩が促す。
だからそのまま先輩について屋上へ行った。
「鍵……?」
「あぁ、もらってんの。親が寄付金とか出してるからこんくらいは簡単にもらえた」
「御曹司だからですか?」
「聞いた?」
「はい。お父さんが社長でお金持ちで、先輩もかっこよくて心広くて優しいので人気者だって」
「後半は違うな。周りはおれの立場しか見てねぇから。そんなんだれが言ってた?」
「いや、人気者って聞いたので、きっと先輩は優しいからだろうなって納得したんです」
話しながら先輩が座った隣へ腰を下ろした。
わたしの話を最後まで聞いた先輩は目を丸くさせて、こちらを見ている。