イケメン御曹司が初めての恋をして、天然でかわいい女の子に振り回されちゃう話。
要くんも萌ちゃんを見る。
少し驚いたような不機嫌なような表情。
「優乃とお友達になったの」
「勝手におれの優乃に近づくなよ」
「まぁ、要さんが独占欲を出してるわ。おもしろいわね」
「うっせぇな」
ふたりのやりとりから本当に知り合いで、しかも心を許しているのだと感じた。
わたしの知らない時間がふたりにあるのは寂しい……。
って、わたしのほうが独占欲強いね。
「優乃のお部屋に案内してもらったわ」
「は?殴るぞ」
「婚約者に向かってひどくない?」
「親が酔った勢いで言ったことを真に受けんな。優乃、違うからな?おれはこの女となんの関係もないから」
要くんがわたしの顔を覗き込む。
不安げな表情。
少し焦っているように感じた。
「はい。萌ちゃんから聞いたので大丈夫です」
「こいつに嫌なことされたり言われたりしてない?」
「ちょっと、私をなんだと思ってるの」
「黙れ。優乃に聞いてるし、優乃の声が聞きてぇんだよ」