イケメン御曹司が初めての恋をして、天然でかわいい女の子に振り回されちゃう話。
「あ、あの……本当にすみません。いますぐ染み抜きしないと……!あ、クリーニングに出せばいいのかな。あぅ……どうしよう、カルピスって匂うよね、匂いは……?」
プチパニックになり、手が震える。
頭も働かない。
調子に乗るからだよ。
翔ちゃんにもよく言われてたのに。
『調子に乗ったら失敗する』って。
「本当にごめんなさい……!!」
とにかく謝るしかできずに頭を深く下げる。
「ちょっと、なにぶっかけてんの?この人がどんな人かわかってる?ふざけんなよ」
「うぅ……すみません」
「こんくらいべつにいいし。なんでお前が怒ってんだよ。怒ってんのはおれなんだけど」
「なんでよ」
「もううざいからどっか行って。二度と顔見せんな」
「…っ、もう知らない!!」
バタバタという足音が去っていくけど、わたしは顔を上げることができない。
頭の中は自分のおかした失敗でいっぱい。