イケメン御曹司が初めての恋をして、天然でかわいい女の子に振り回されちゃう話。
「まじでこの先輩と一緒にいたんか」
は?この男、嫌悪感丸出しじゃねぇか。
気が悪いな。
イラっとするけど、優乃の幼なじみだから必死におさえる。
けど、覚えてろよ。
おれはいつでもお前のこと消せるんだよ。
社会的地位を一生かかっても戻せないくらい落とすことだってできる。
「うん。伊月先輩、本当に素敵な人なんだよ」
「ふぅん」
感情のこもってない声を出し、おれに視線を移す。
その目の奥は笑ってない。
おれも睨むようにそいつを見る。
だけど、すぐに向こうから目を逸らして優乃に視線を戻した。
「優乃」
「どうしたの?」
「……あのさ、」
「翔太ー!サボんな。皿洗い途中だぞ」
「チッ。またな。連絡する」
「あ、うん。がんばってね」
厨房のほうから幼なじみを呼ぶ声が聞こえて、やっと幼なじみは戻った。
騒々しいな。
普通は客がいるときに、あんな呼び出し方しねぇよ。
やっぱり庶民はこういうところが合わねぇ。
「翔ちゃん怒られちゃった。申し訳ないけど、でも翔ちゃんとおじさんのやりとりって笑っちゃうんだよね。気取らないこのカフェの雰囲気も好きで」