イケメン御曹司が初めての恋をして、天然でかわいい女の子に振り回されちゃう話。
クスクスと笑っている優乃。
だけど、おれの視線に気づきハッとした表情になる。
「あ、先輩は嫌でしたよね。こんなうるさい感じは……すみません」
「いや、いいと思う。この雰囲気」
「ですよね!先輩にも気に入っていただけたならうれしいです」
あー、おれってこんな自分の意志曲げるようなやつだっけ。
心の中で感じたことと、口から出てくる言葉がまじで違うんだよ。
むしろおれは、自分の意志は絶対曲げないタイプなのに。
でも、優乃が好きなものはおれも好きになりたい。
「じゃあ、食べましょうか。いただきます」
手を合わせて食べ始める。
そんな優乃を見て、おれも手を合わせてから食べる。
まあまあだな。
庶民の店にしては食べられる。
「ん~おいしい。おいしいもの食べると幸せです」
本当においしそうに食べる優乃。
あ、その顔かわいい。
目に焼き付けるようにじっと見つめる。
「あ、えっと、そんなに見られると恥ずかしいです。もしかして……ついてます?」
照れたようにチラッとおれを見る優乃は天使だ。
正真正銘、天使だ。
「ううん。かわいくて見てた」