イケメン御曹司が初めての恋をして、天然でかわいい女の子に振り回されちゃう話。


おれのまっすぐな言葉に、優乃はさっきよりも顔を赤くした。

あ、照れた。


おれの言葉で照れてくれた。

伝わったのがうれしくて、笑みがこぼれる。



「い、伊月先輩は本当に優しすぎます……。女の子たちから人気な理由もわかりま……」

「優乃だけ。他の女にこんなの言わない」

「え?」

「なぁ、今日ここ連れて来てくれたお礼に、今度はおれが連れてってやるよ」


とか言って、本音はただ優乃といたいだけ。

約束は自分でつくるもんらしいから。


優乃が喜びそうなところ。
デートスポット……。


あ、やべ。
おれ、いままでデートとかしたことねぇから思いつかないわ。



「どこでも、優乃が行きたいとこ連れてく」



結局、優乃に尋ねるしかない。
ダサすぎて自分にもイラつくな。


「ほんとですか?じゃあ、ここのテーマパーク行きたいです。翔ちゃんも理沙ちゃんも、バイトばっかりで誘いにくくて……」



このアトラクションが今月末でおしまいなので、って説明してくれる。

幼なじみとかが行けないからおれ。


なんか腑に落ちないけど、この際どうだっていい。

チャンスだろ。
これは完全にチャンスだ。

どんまい、幼なじみ。


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