イケメン御曹司が初めての恋をして、天然でかわいい女の子に振り回されちゃう話。
様……?
様つけで呼ばれた。
そんなこと初めてだよ。
戻っていくスーツの運転手さん。
車で迎えに来てくれるって言ってたけど、まさかこんな高そうな車だなんて。
それにお父さんやお母さんではなく、専属運転手さんって感じだ。
やっぱり伊月先輩って御曹司なんだ……。
急に緊張してきた。
そんな御曹司をテーマパークに誘ってしまったなんて。
「優乃……」
「は、はい」
急に緊張してきて、目が泳いでしまう。
けど、伊月先輩の顔をしっかりと見ると落ち着く。
先輩はいつも通りだ。
「……かわいい、な」
「ほんとですか?かっこいい伊月先輩と並ぶからってたくさん考えたんです。でも、先輩が予想以上にかっこよすぎて……隣、大丈夫ですかね?」
「かっわ……」
「え?」
「いや、大丈夫。そんなの気にすんな。優乃がおれのこと考えて決めてくれたんならそれだけでいい」
やっぱり、先輩は優しすぎる。
おかしくないか不安だったけど、先輩がそう言ってくれるならいいや。
「えへへ、いっぱい考えてます」
「っ、ほら、行くぞ。車乗って」
「はい。ありがとうございます」
伊月先輩がドアを開けてくれる。
お礼を言ってから車に乗り、そのあとに先輩も乗った。