イケメン御曹司が初めての恋をして、天然でかわいい女の子に振り回されちゃう話。


「あの、わざわざお迎えに来ていただきありがとうございます」


運転手さんに向かって声をかける。

ミラー越しに目が合った。
優しげな目元に、わたしまで笑みがこぼれた。



「いいんですよ。最近は要様が歩いて学校へ行かれるので、専属運転手として寂しかったんです」

「え、先輩?」


もしかして、わたしが言ったせいで……?

先輩には先輩の決まりだったり、行動パターンがあったのに、わたしがなにも考えずに言うから……。



「歩くのもいいよなって思ったんだよ。ゆっくり景色見れるし」

「先輩……」

「教えてくれてありがとな」



先輩がわたしの顔を覗き込んで微笑むから、ドキッと胸が高鳴った。

けど、それはなかなか止まらず、ずっとドキドキしている。



「……はい」

「でも、優乃がいたらもっといいからさ、また一緒に帰ろう」

「はい!ぜひ!」

「……よし。約束とりつけた」

「え?」

「あ、なんでもない。着いたらどれ乗りたいんだ?」



車の中で伊月先輩とたくさん話しながらテーマパークへ向かう。

わくわくが膨らんで、ずっと楽しみだったのがもっと楽しみになる。




< 59 / 285 >

この作品をシェア

pagetop