イケメン御曹司が初めての恋をして、天然でかわいい女の子に振り回されちゃう話。
伊月先輩と話していたら移動時間なんてあっという間で、気がつけば着いていた。
先輩はわたしより先に降りていて、降りるときに手を差し出してくれたから、その手に自分の手を重ねて支えてもらいながら降りた。
なんか、お姫様になった気分だ。
テーマパークに入る前から夢みたい。
「楽しんできてくださいね」
「はい!運転もありがとうございました」
「帰りは連絡する」
「かしこまりました」
深く頭を下げる運転手さんにわたしも頭を下げてから、ゲートに向かって歩く。
なぜか、土曜日なのに人が少ないなぁ。
「あ、チケット買わないとです」
「大丈夫。いらない」
「え?でも……」
「優乃に出させねぇよ」
チケットってけっこう高いよ?
わたしもお小遣い貯めてるから、それくらい払えるのに。
「いいから。今度はおれが連れてくって言ったんだし。優乃はただ楽しんでくれたらいい」
「ありがとうございます……」
それでいいのかな?と思いつつ、お礼を言って伊月先輩についていく。