イケメン御曹司が初めての恋をして、天然でかわいい女の子に振り回されちゃう話。
「伊月様ですね。お待ちしておりました。それでは、行ってらっしゃい」
先輩を見るとすんなり通されて驚く。
あれ?
チケットは?
それに、中も人がいない。
「まず、あれ乗りたいんだっけ?」
わたしが車の中でいちばんに乗りたいと言ったアトラクションを指す。
それはいちばん人気で、待ち時間が長いから最初に行っておきたかった。
でも、人がだれもいないから、並んでいない。
「あの……」
「どうした?」
「どうして、誰もいないんですか……?」
スムーズに進みすぎるというか、人がいないことに違和感。
待ち時間を確認するために、前日にアプリも入れておいたのに、これは予想外だ。
「あぁ、貸し切ったから」
「えぇ!?」
貸し切ったって、今日このテーマパークを?
驚いて目をパチパチとさせる。
なんでもないことのように言ったけど、テーマパークを貸し切るなんて、マンガとかではあっても現実では聞いたことがない。
実際にあるのかもしれないけど、すくなくともわたしの周りにはないこと。