イケメン御曹司が初めての恋をして、天然でかわいい女の子に振り回されちゃう話。
かわいかったから自分のぶんもちゃっかり買っちゃったんだ。
それを見せると、先輩は驚いたように一瞬目を見開いた。
けどすぐにいつも通りの表情に戻す。
「ありがとな。大事にする」
「こちらこそ本当にありがとうございました!とっても楽しい時間で、先輩と一緒に行けてよかったです!」
本当に伊月先輩と一緒でよかったなって思う。
ずっと楽しくてずっと幸せだった。
「また遊びましょうね!」
「あぁ」
「では、また学校で……」
「待て」
笑顔で手を振るとその手をつかまれた。
そのままぎゅっと握られる。
テーマパークと同じで指を絡めるから、思わずドキッとする。
夢みたいな空間とは違い、ここはわたしの住むマンションの前。
いつ、どこで、だれに見られているかわからない。
「あ、あの先輩……」
「優乃」
さっきからわたしの言葉を遮られる。
恥ずかしいから手を離してほしいと伝えようとしたけど、先輩の真剣すぎる表情になにも言えない。