イケメン御曹司が初めての恋をして、天然でかわいい女の子に振り回されちゃう話。
ドキドキはおさまってくれない。
本当にこのまま心臓が爆発しちゃいそうだよ。
「えっと、あの、びっくりしすぎて……その、うれしいです」
いきなりで頭がついていっていないけど、素直に言葉にする。
優しい先輩に『好き』と言われてうれしくないわけがない。
「わたしも好きですよ」
「うん。うれしいけど、たぶん優乃の好きとおれの好きは違う」
「え?」
「おれは、優乃と付き合いたい。抱きしめたいしキスしたい。……めちゃくちゃにしてぇ」
「っ、」
先輩の言葉に顔が熱くなる。
最後は上手く聞きとれなかったけど、先輩の気持ちが声からも表情からも指先からも伝わってきた。
先輩と付き合って、抱きしめあって、キスをして……。
心の中で復唱するだけで頭が沸騰しそう。
もしかしてこのドキドキは、お湯が沸騰する前にぶくぶくなっているのと同じなのかも。
じゃあ、ドキドキが限界を迎えたらどうなるのかな。
なんてよくわからないことが頭をめぐるくらいに、すでにわたしはわたしではない。