俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜
次の瞬間、理樹さんは私の手を引き寄せ「行くぞ」そう言って、その場から離れようとした。

「理樹、待て」

副社長は思わず、急な理樹さんの行動に慌てた。

「俺は亜紀との約束を果たす」

そして私の手をギュッと握り「亜紀、結婚しよう」と理樹さんの唇が動いた。

一瞬、全ての時間が止まったかのように、周りの音が消えた。

理樹さんは何を言い出したの?

その静寂を打ち破ったのは副社長だった。

「理樹、何を無責任な事を言ってるんだ、お前は婚約者がいるだろう、東條ホールディングスの社員を路頭に迷わす気か」

副社長の言葉で私は我にかえった。

理樹さんの手を振り解き、副社長の元に駆け寄った。

そして、私はとんでもない事を口にしてしまった。

「私は健さんが好きです、理樹さんのことは信用出来ません」

「亜紀」

「先に帰っています、お仕事終わったらすぐに帰って来てくださいね」

そして私は理樹さんに背を向けた。
理樹さんは何を考えたのか、私の背に向かって叫んだ。

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