桜の花びらが降る頃、きみに恋をする
第1章 桜の花びらとともに

きみとの出会い


ーーチリリン チリリン。

「‥‥‥んっ」

セットした目覚ましの音で目が覚めた。

ゆっくりとベッドから体を起こすと、閉めていたカーテンの隙間から明るい光が差し込んでいるのが見えた。

あれから私は、いくつもの朝を迎えただろう。

大切な人をなくした心の傷は、そう簡単に消えることはなく、気がつけばもうすぐ7年。

時計の針は1秒ずつ時を刻んでいくのに、私の心はあの日に止まったまま‥‥‥。

部屋着から真新しい制服へと着替えると、壁にかけている鏡を見ながらくしを使って髪を綺麗に整える。

この前、腰辺りまであった長い髪を美容院に行ってカットしてもらったばかり。

今では、肩につくぐらいのストレートな黒髪。

それに、152センチという低めの身長で色白で細い体はよく周りから心配されてしまう。

身だしなみが整うと、重たい足取りで奥にあるリビングへと向かった。

この家に引っ越して、ちょうど1週間。

築30年の2階建てアパート。

階段登ってすぐが私のお家。

お部屋は少し狭いけれど、お母さんと2人暮らしの私にとっては十分な広さだ。
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