桜の花びらが降る頃、きみに恋をする
「じゃあ、俺も蒼ちゃんのこと呼び捨てで呼んじゃおっかな〜?」
なんて琉輝くんが明るい調子で言ってくるもんだから、
「「それはダメ!」」
その声に驚いて見てみると、美菜ちゃんと陽向が焦った様子で琉輝くんを止めていた。
「蒼は私のだから! 琉輝にはあげないんだからね!」
美菜ちゃんは、私の前に立つと琉輝くんには近づけまいと大きく手を広げた。
しかも、早速私のこと“蒼”と呼んでいる。
「まぁ、美菜はいいとして、なんで陽向がダメっていうんだよ。あっ、もしかして、俺にやきもち妬いてんの?」
「ち、違うし!」
琉輝くんの言葉に陽向は慌てた様子で否定するけれど、そうとも聞かず琉輝くんは陽向をからかう。
「蒼ちゃん可愛いから俺にとられたくないとかだったりして〜?」
「ちょっ……! 琉輝! それ以上言ったら怒るからな」
腰に手を当てた陽向に対し、琉輝くんはポスっとその肩に手を置いた。
「まぁまぁ落ち着けって。俺は、蒼ちゃんをとったりしねーよ。なにせ、俺には口うるさい彼女がいるからなぁ〜」
琉輝くんの余計な一言で、今度は美菜の心に油を注いでしまった。
「今、私のこと口うるさいって言った!」
「誰とは言ってないじゃん!」
ヒートアップする2人の言い争いにハラハラしてどう仲裁しようか思っていると、隣にいる陽向はもう当たり前のことのようで呆れて見ていた。
「また今日も始まったよ。2人のイチャイチャタイム」
「「全然イチャついてないから!」」
陽向くんの言葉に2人は否定したけど、息ぴったりで笑わずにはいられなかった。