桜の花びらが降る頃、きみに恋をする

待ち合わせにしている公園までもうすぐ。

みんなで公園の時計台のところに集まって、近くの夏祭り会場である神社に向かうことになっている。

ちなみ、この公園は以前、陽向と来たことがある公園だ。

誰か来てるかな?

キョロキョロと辺りを見渡すと、時計台の下に見覚えのある人物が見えた。

‥‥‥陽向だ!

時計台の針は、集合時間より15分前を指しているのに、陽向はもう来ている。

相変わらず早いなぁ。

もしかして、私と同じで待ちきれずに早く来ちゃったとか?

それなら、ちょっと嬉しいかも!

いてもたってもいられなくなった私は、彼のもとへ駆け寄った。

「陽向」

近づいて名前を呼んでみると、陽向は私を見るなり目をぱちくりした。

「えっ? 蒼?」

とても驚いている様子だ。

「うん。そうだよ」と伝えてみれば、「もう、びっくりした」と陽向は口元に手を当てた。

「浴衣で来るとは聞いてたけど、まさかこんな姿で来るなんて聞いてないよ」

「えっ、それってどういう‥‥‥」

不安になっていると、ぽんっと温かい手が頭の上に乗った。

顔を上げてみると、1番見たかった笑顔がそこにあった。
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